老朽下水管の点検~人員確保に立ちはだかる「見えない壁」~

 私は、大阪府高槻市で建設業許可及び産業廃棄物処理業☆産業廃棄物収集運搬業の許可申請の代行を23年間営んでまいりました行政書士浜田温平事務所所長の浜田温平です。 私は、高槻市を拠点として茨木市、島本町、枚方市、寝屋川市、池田市、守口市、箕面市、大阪市、摂津市、吹田市、豊中市など北摂を中心に活動している行政書士です。
 近年、自治体やインフラ関連事業者から多く聞かれるのが、下水道施設の老朽化と人材不足という深刻な問題です。 日本経済新聞2026.1.29(木)の記事で指摘されているとおり、老朽下水管の点検を担う人員の確保が難しくなっている現状は、決して一部地域に限った話ではありません。

1.下水管は今、どれほど老朽化しているのか
 下水道管は、高度経済成長期に集中的に整備されたものが多く、耐用年数(おおむね50年)を超えつつある管路が全国で増えています。
 老朽化が進むと、
 ・腐食・破損
 ・地盤沈下
 ・道路陥没
 ・汚水漏れ
 といった 生活に直結する重大事故につながりかねません。そのため、定期的な点検・調査が不可欠ですが、ここで大きな壁となっているのが「人」です。

2.なぜ点検人員が確保できないのか
(1)作業の特殊性と危険性
 下水管点検は、
 ・地下空間での作業
 ・酸欠・有毒ガスのリスク
 ・汚水・悪臭への対応
 など、専門性と安全管理が強く求められる業務です。
 若年層にとっては、
 「きつい・危険・汚い」というイメージが先行し、人材が集まりにくい要因となっています。

(2)技術者の高齢化
 点検や補修を担ってきた熟練技術者の多くが高齢化し、技能継承が追いついていない現実があります。
 結果として、
 ・経験者が引退
 ・新人が育たない
 という悪循環が生まれています。

(3)自治体予算と委託構造の問題
 下水道事業は多くの場合、自治体が主体となり、
 ・点検業務を外注
 ・年度単位の予算管理
 で進められています。
 そのため、長期的な人材育成よりも、短期的な委託重視になりやすく、安定した人員確保が難しい構造となっています。

3.人手不足が招くリスク
 点検人員が不足すると、
 ・点検頻度の低下
 ・異常の見逃し
 ・事故発生時の対応遅れ
 といったリスクが高まります。
 下水道は「見えないインフラ」ですが、一度事故が起これば、市民生活・交通・経済活動に甚大な影響を及ぼします。

4.今後求められる対応策
(1)技術と人の組み合わせ
 ・人手不足を補うため、
 ・管内カメラ
 ・ドローン
 ・AI画像解析
 といった 技術活用が進められています。
 ただし、最終判断や現場対応は人の経験と判断力が不可欠であり、技術だけで解決できる問題ではありません。

(2)人材育成を前提とした制度設計
 今後は、
 ・長期包括委託
 ・人材育成を評価する発注方式
 ・資格制度・研修制度の整備
 など、人を育てることを前提にした制度設計が重要になります。

5.行政書士の視点から
 老朽下水管の点検・更新事業は、
 ・建設業許可
 ・管工事業・土木工事業
 ・入札参加資格
 ・業務委託契約
 など、多くの行政手続きと密接に関係しています。
 人材不足の時代だからこそ、
 ・許可・登録の整理
 ・事業体制の構築
 ・契約内容の適正化
 を通じて、持続可能なインフラ維持体制を作ることが求められています。

まとめ
 下水管の老朽化は全国共通の課題
 ①点検人員の確保が最大のボトルネック
 ②人材不足は重大事故のリスクを高める
 ③技術活用と人材育成の両立が不可欠
 下水道は、私たちの生活を陰で支える「社会の基盤」です。 その維持を誰が、どのように担っていくのか。
 人と制度の両面からの対策が、今まさに問われています。